ワンコ系Drの熱烈アプローチ



「えっ……! 鮎川先生が?」


その日の診療終了後。

私は浅木さんと共に駅前のカフェに入ってお茶をしていた。

朝、浅木さんを見かけたのが鮎川先生と一緒だった時だったということが見事にバレて、腹をくくった。

こうなったら、浅木さんに全てを打ち明けて、話を聞いてもらおうと思ったのだ。

一人であれこれ悩むなら、私のことも鮎川先生のことも知っている人に相談するのがいいかもしれない。

律己先生とお付き合いしている浅木さんになら言いやすい気もしたからだった。


でも、昨日の友達主催の合コンに行ったら鮎川先生がいて、その帰りに告白されたことを話すと浅木さんは予想以上の驚きを見せたのだった。

そりゃそうだ。
私だって昨日から未だに平常心を保てていない。


「そっかぁ……全然わからなかった。鮎川先生が下村さんを……」

「いや、でも、私も未だに全然信じられなくて、その……」


打ち明けておいて、私はまた必要以上にきょどる。

落ち着きなくアイスティーの入ったグラスを持ったり置いたりしている私を見て、向かいの浅木さんがクスッと笑った。

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