ワンコ系Drの熱烈アプローチ


「あっ、浅木さん、お迎えでは」

「えっ?」


さっきの電話の相手は律己先生だったのかと、颯爽と現れたスーツの長身を眺めながら気付く。

どうやら浅木さんは律己先生がここに現れるとは思っていなかったような様子で、途端に落ち着きをなくしていた。

店内の女性客の視線が近付く律己先生に吸い寄せられていく。


「お疲れ様です!」


やってきた律己先生に診療室でするみたいな挨拶をすると、律己先生は相変わらずの様子で「お疲れ様」と口にした。


「すみません、浅木さんお借りしてました」


そう言ってみると、律己先生はほんの一瞬だけどこか驚いたように私の顔を凝視する。

そして、手前で律己先生を見上げる浅木さんに目を落とした。

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