ワンコ系Drの熱烈アプローチ
真摯な熱烈アプローチ
翌週、水曜日――。
明日が祝日ということもあり、一日診療室はバタバタだった。
明日入るはずの予約が、前倒しで休み前の今日に入ったりするからだ。
診療時間も残り一時間となって、ひと段落した受付の中で一人今日の日計表の点数を計算していると、不意に横から覗き込む人影が現れた。
「あと五人か。一人キャンセルになったんだ?」
それが鮎川先生だったもんだから、無駄に驚いて電卓を打つ手が止まってしまった。
「あ、はい。明後日の同じ時間に変更したいと、さっき連絡が……」
私の作業するすぐ横に片手をついて、アポ帳をめくって休み明けの予約を眺める鮎川先生。
その手が大きくてゴツゴツした男の人の手で、無意識のうちにドキドキと意識してしまう。
緊張を誤魔化して再び計算を再開させると、電卓のすぐ横につかれていた手が離れていった。
「下村ちゃん、今日って予定ある?」
「えっ!」