ワンコ系Drの熱烈アプローチ
何階まであるのか不明だったマンションは、鮎川先生が押した階数六階が最上階ということがわかった。
住まいに近付くにつれ、忙しなく音を立てている心臓がますます激しく鼓動を主張する。
居住者用の内廊下もコンクリート打ちっ放しの造りで、何室かある玄関扉は目を引く真っ白なドアが点々と並んでいる。
外に吹き抜けになる部分からは周囲に植えられた木が枝を伸ばし、緑に囲まれたどこか癒される眺めだった。
鮎川先生はその突き当たりまで進むと、真っ白なドアの鍵を開ける。
「どうぞ」と扉を開いて部屋へと招き入れてくれた。
「お邪魔します……」
緊張しながら玄関へと足を踏み入れると、奥からカチャカチャと何かが勢い良く近付いてくる音がした。