ワンコ系Drの熱烈アプローチ


何階まであるのか不明だったマンションは、鮎川先生が押した階数六階が最上階ということがわかった。

住まいに近付くにつれ、忙しなく音を立てている心臓がますます激しく鼓動を主張する。

居住者用の内廊下もコンクリート打ちっ放しの造りで、何室かある玄関扉は目を引く真っ白なドアが点々と並んでいる。

外に吹き抜けになる部分からは周囲に植えられた木が枝を伸ばし、緑に囲まれたどこか癒される眺めだった。

鮎川先生はその突き当たりまで進むと、真っ白なドアの鍵を開ける。

「どうぞ」と扉を開いて部屋へと招き入れてくれた。


「お邪魔します……」


緊張しながら玄関へと足を踏み入れると、奥からカチャカチャと何かが勢い良く近付いてくる音がした。

< 66 / 121 >

この作品をシェア

pagetop