ワンコ系Drの熱烈アプローチ


「わっ、可愛い!」


出迎えてくれたのは、小さくて可愛らしい一匹のチワワだった。

ミルクティー色の毛と黒々とした目に、ついはしゃいだ声を上げてしまう。

やってきたチワワはスニーカーを脱ぐ鮎川先生の足元に絡み付いている。


「うちの同居人。あ、犬か」

「名前、なんて言うんですか?」


そう聞いてみると、鮎川先生は足元で尻尾を振る小さな体をヒョイっと抱き上げ私に差し出す。


「スーです、女子です。よろしくお願いします」

「スーちゃん、可愛い」


手渡されて両手で受け取ると、スーちゃんはジダバタと後ろ足を激しく動かす。

抱っこしたものの、下ろしてくれと言わんばかりに暴れられてしまい、すぐに床へと小さな体を下ろしていた。

スーちゃんは先に奥へといってしまった鮎川先生のあとを全力で追いかけていく。

「上がってきて」と見えなくなった鮎川先生から声をかけられ、また「お邪魔します」と言って脱いだパンプスを揃えた。

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