ワンコ系Drの熱烈アプローチ
「オシャレ? そう? あんまり片付けてないからさ、観察しすぎは厳禁ね」
「そうですか? 全然片付いてますけど」
リビング奥にある肘掛けが木造りの北欧風な濃いブルーのソファの上に、歯科関係の雑誌が数冊積まれているくらいで、あとは目立って片付いていないところは見受けられない。
勝手なイメージ、オシャレな鮎川先生は所有物が多くて、部屋の片付けとか苦手なのかと思っていた。
だけど、意外にもきちんとしていて綺麗好きなのかもしれない。
「何か手伝いましょうか? というか、手伝わせてください」
「あー、だいじょぶだいじょぶ。すぐできるし、お客さんは何もしないで待ってて」
キッチンから出て来た鮎川先生の手には、銀色の小さなお皿が載っている。
それをそばにある木の鉢のそばに置くと、その前でスーちゃんが行儀よくお座りをして鮎川先生を見上げていた。
「よし」と言われて、スーちゃんがお皿の中に口をつける。
「スーの相手でもして待っててよ」
そう言い、またキッチンの中へと入っていった。