ワンコ系Drの熱烈アプローチ


そんな風に言われてしまうと返事に困ってしまう。

余計なことを取っ払ったら、鮎川先生みたいな人とお付き合いできるなんて光栄なこと。

外見も内面も申し分ないし、肩書きだって立派。

私が『はい』とすんなり言えないのは、自信のない私自身に問題があるからだ。


「私、自分に自信ないですから、きっとちょっとしたことで不安になると思うんです……お付き合いして、どんどん好きになっていったら、重くて、うざい奴になりそうで……」


心にある思いを曝け出して口にすると、鮎川先生は気が抜けたようにフッと表情を緩める。

そして、そんな私の気持ちを受け止めるように、俯く私を腕ごと抱き締めた。

更に近付いてしまった距離に、鮎川先生の首元で目を見開いていた。

いつもいい香りだなと思っていた、仕事が終わるとほのかに香る鮎川先生が纏う甘い香り。

くらりと目眩のような感覚を覚える。


「じゃあ、不安になんてしないって、約束するから」

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