ワンコ系Drの熱烈アプローチ
Dr.Ayukawa Side
下村ちゃんを部屋に呼んだ日から三日。
夕方までの土曜の診療を終えると、白衣を脱いだプライベートな姿で再び一同が集まる。
よく使う医院からほど近い駅前の洋風居酒屋で、長く働いていた助手スタッフの送別会が開かれていた。
広く用意された座席は今日も毎度変わらぬ配置で、ドクターはドクター、スタッフはスタッフでかたまりおのおのが会話を繰り広げている。
ドクター側の今日の話題は保存治療についてが議題になっていて、俺は静かに飛び交う議論を耳にしている。
相槌をうちつつも、視線の先には楽しそうに過ごしている下村ちゃんの姿がある。
あの日、つい返事を迫ってしまったけど、下村ちゃんは戸惑いながらも前向きな答えを返してくれた。
ちょっと焦りすぎたか、とも思ったけど、時折見せられる可愛らしい表情に抑えがきかなかった。