ワンコ系Drの熱烈アプローチ


会が始まって二時間が経つ頃、そろそろお開きになる雰囲気が漂い始めた。

女子たちがデザートを頼み始めている。


珍しく、隣にいる副院長が水割りのグラスを傾けていた。

飲み会でも飲酒をしないのに、今日は珍しい。

いや、俺が見るのが初めてなだけか?


「下村さんのこと、少し耳に挟んだ」


向かいの先生たちがスタッフの会話に入って盛り上がり出したあと、いきなり思いがけない言葉を掛けられた。

その相手が副院長だったもんだから、一瞬耳を疑った。


「え……それは、浅木さんから、とか」


副院長がそれを知り得るとすれば、その経路しか思い当たらない。

となると、下村ちゃんは浅木ちゃんに俺とのことを話してるってことになるけど……。

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