無慈悲な部長に甘く求愛されてます
フルーヴでのアルバイトを終えてやってきたらしい彼女は、女子大生の三崎明菜ちゃんだ。
ショートボブの茶髪をさらりと揺らしてしゃがみこむと、彼女は大きな目をきらきらさせて両手を広げた。
「大くん、お誕生日おめでとー!」
「あきなー!」
彼女に向かって大河くんが突進していく。
抱き合う彼らの仲良しっぷりにあっけにとられていると、明菜ちゃんと視線がぶつかった。
げっと顔を歪められ、ますます肩身が狭くなる。
「なんで、その人がいるんですか」
「大河が呼んでほしいって言うからさ、けんちゃんに頼んで連れてきてもらったの」
良美さんが大河くんの頭をわしゃわしゃ撫でる。
「和花ちゃんに一目ぼれしたんだよねー」
「ママ!!」
「あーごめんごめん。内緒だったっけ」
「なにそれ!大くん、あきなと結婚してくれるって言ってたじゃん!浮気かよ!?」
冗談とも本気ともつかない口調で大河くんの頬を両手で挟む明菜ちゃんを見ながら、私は立ち尽くす。