無慈悲な部長に甘く求愛されてます

 良美さんが私と彼女を交互に見ていたずらっぽく言った。

「しょうがないよね、ふたりともかわいいから好きになっちゃうよね。どうしようか大河。どっちと結婚する?」

 ひとり蚊帳の外かと思いきや、話題にはばっちり自分の名前が交ざっている。

 困ったように口を尖らせている大河くんの可愛さに笑っていると、となりで冴島さんが固まっていることに気づいた。

 さっきまで笑っていた顔がどことなく引きつっているように見える。

「冴島さん?大丈夫ですか」

 どこか具合でも悪いのかなと心配していると、良美さんがニヤニヤと笑った。

「まさかのライバル登場だね」

「……」

 良美さんの言葉には答えず、冴島さんはコートを脱いで「キッチンの料理、運べばいい?」と急に動きはじめた。

 それを見て、良美さんはケラケラ笑っていた。


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