無慈悲な部長に甘く求愛されてます

「じゃ、ごはん食べよー!」

 良美さんの一声で、私たち六人は食卓を囲んだ。

 陸人さんと冴島さんにすすめられて、私もビールをいただく。

「あきなちゃんは飲めるんだっけ?」

 良美さんからコップを受け取って、彼女は艶っぽく笑った。

「飲めますよ今年から。賢人さんについでほしいなー」

「はいはい」

 催促される形で、冴島さんが私とは反対側のとなりに座る彼女にビールを注ぎ入れた。


 大河くんの幼稚園の話やお店の話、陸人さんがパティシエになったいきさつなどを聞きながら、食事は楽しく進んでいく。

 陸人さんと冴島さんはお酒が強いらしく、ビール瓶はあっというまに空になり、いつのまにか別の酒瓶がテーブルに置かれていた。

 あまりお酒に強くない私は途中からお茶に切り替えたけれど、どうやらまだ自分の飲酒ペースがわかっていないらしい明菜ちゃんは、彼らのペースに引きずられるようにお酒を飲んでいて、すでに目が据わっていた。

< 108 / 180 >

この作品をシェア

pagetop