無慈悲な部長に甘く求愛されてます

 良美さんはいつものようにニヤニヤ笑った。

「あれで独り身なんてもったいないわよね。イケメンの無駄遣いだわ」

「そうですね」

 素直に答えると、良美さんがぐんと顔を近づけてきた。ぎらぎらした目に、つい一歩後ずさってしまう。

「忙しい男だからさー、和花ちゃんみたいな子がぴったりだと思うのよね。おっとりしてて、日々の疲れを癒してくれるような女の子。どう?付き合ってみない?」

「え!?」

 良美さんがそういうふうに言ってくれることは純粋に嬉しかった。

 でも、そういうことは本人が決めることだし……。

 現に、冴島さんは今もまだ明菜ちゃんと楽しげに話をしている。

 ちらと背後のテーブルをうかがって、私は良美さんに向き直った。

「ありがたい話ですけど、冴島さんのほうは私じゃなくても……」

「そうじゃなくて、和花ちゃんの気持ちは?けんちゃんのこと、どう思う?」

 ぐいぐい迫ってくる彼女に追い詰められて、私はさらに後ずさる。

「スペック的には問題ないでしょ?むしろあれほどの男はなかなかいないわよ」

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