無慈悲な部長に甘く求愛されてます

「そういえば、明菜ちゃんは大丈夫だったんですか?」

 傍から見てもだいぶ酔っ払っていた彼女は、気が付くと姿を消していた。途中で帰ったという話だったけれど、あんなに酔っててひとりで帰れたのだろうか。

「大丈夫だろ。彼氏が迎えに来てたから」

「え、彼氏!?」

 声をあげた私を、冴島さんは不思議そうに見下ろす。なにをそんなに驚く?という顔に、私は口をぱくぱくさせてしまった。

「だって、明菜ちゃんは冴島さんのことが……」

「あれはああいう子なんだよ」

 私の考えを察したように、冴島部長は苦笑する。

「人懐こいというか、壁がないというか。ふわふわといろんな男に好意をちらつかせるわりに、自分には長年付き合ってる男がしっかりいる」

「そうなんですか……」

 私よりも年下なのに明菜ちゃんは恋愛の経験値が高そうだ。

「罪な女なんですね……」

 私のつぶやきに、冴島さんは「ははっ」と笑った。

「だって、あんなカワイイ子に触られたら、ドキドキしちゃいませんか?」

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