無慈悲な部長に甘く求愛されてます
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恋の予感が確信に変わったとたん、心は抑制がきかなくなる。
「おはよう」
後ろから声が聞こえて、体がびくりと跳ねた。
「おはようございます」
「はよーございまーす」
営業部の面々が冴島部長に挨拶を返している。
背中を向けながら、私の意識はあっというまに斜め後ろに持っていかれた。
パソコンの電源を入れる音、コートを脱ぐ音、椅子に座る音。
冴島部長の気配のひとつひとつを、耳が勝手に追ってしまう。
「小松さんてば、おい、聞いてる?」
はっとして正面のデスクに目を向けると、松田先輩が困ったように私を見ていた。
「作ってもらった資金予算表に修正箇所があるんだけど……」
「すみません、ええと、様式のことでしたよね」
「いや、数値が間違ってる」
「え!?」
パソコン画面の向こうから渡された書類を受け取り、私は書かれた数字を見直した。