無慈悲な部長に甘く求愛されてます

「独身女が仕事に支障をきたすくらい心乱される出来事なんて、恋愛くらいなものでしょ」

 彼女の言葉はいつも真実だ。論理的に物事をとらえて、的確に判断をくだす。

 そのさばさばした物言いはとてもかっこよくて、あこがれる。

「私も真凛みたいに知的でかっこいい女になりたいよ」

「……私は和花みたいなおっとり乙女にあこがれるけどね」

「おっとり乙女……?」

「とにかく、会社にいるあいだは相手の男のことは忘れたほうがいいわ。それで今度飲みにいこう」

「え?」

 急に話がとんだ気がして振り返ると、真凛は化粧ポーチのファスナーを閉めてふっと笑った。

「落ち着いたら聞かせてよね、おっとり乙女の恋愛話」
 



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