無慈悲な部長に甘く求愛されてます
私の想い人が冴島部長だと知ったら、真凛はどういうリアクションをとるだろう。
さすがの彼女も驚きのあまり瞠目するかもしれない。
クールビューティーのポーカーフェイスが崩れるところを一瞬でも見ることができたら、それはそれで楽しいかも。
だけど、そもそもクリスマスのことを話さずに冴島さんとの一連の出来事を説明できるだろうか。
考えながらマウスをクリックしてファイルを保存する。
真凛に話せるかどうかは置いておいて、ひとまず今は仕事に集中しなければならない。
《会社にいるあいだは、相手の男のことは忘れる》
真凛の言葉を頭のなかで繰り返し、私は席を立った。
振り返った瞬間、執務中の冴島さんが目に入って、心臓が飛び跳ねる。
そのまま自分のデスクに向き直り、私は立ったばかりの席についた。跳ね上がった心拍数を落ち着けるように、うつむく。