無慈悲な部長に甘く求愛されてます
「彼女はお前の専属セクレタリーじゃないぞ」
宮田くんの後ろから、すらりと背の高い彼が現れる。
「さ、冴島部長……」
不意打ちだった。
ミーティングを終えて、てっきり自分の席に戻ったと思っていたのに。
黒目がちの切れ長な目が、私と宮田くんを交互に見る。
久しぶりに冴島さんの顔をまともに見てしまい、胸が痛いくらいに鳴った。
頬が勝手に熱くなっていく。
「小松さんはチーム全体の管理をしてるんだから、お前の雑用を押し付けるな」
「あ、あの、大丈夫です!」
私は奪うように宮田くんから書類を受け取った。
「私、やります」
これ以上ここで冴島さんと顔を合わせていたら、せっかく押し込めていた感情があふれ出してしまう。