無慈悲な部長に甘く求愛されてます
私は無言のまま冴島さんを見上げた。
どちらにせよ、私はきっと眠れない。
冴島さんの熱や視線に浮かされた心と体は、その火照りがさめるまで私に安眠をもたらしてくれないだろうと思った。
「本当に、困ります」
立ち上がろうとする私に手を差し出して、彼はきょとんとした顔をする。
「ん?」
「だって……きっとしばらく、仕事が手につかないです。冴島さんのせいで」
ソファにたたんでおいたコートを拾い上げようとしたら、腕を引っ張られた。
引き寄せられ、冴島さんの腕におさまる。
彼は私を見下ろして、にこりと笑った。
「やりなおし」
ほら、また。
私の心は何度でも、彼に浮かされる。
「……賢人さん、の、せいで」
言い直した瞬間、唇が合わさった。
噛み付くようなキスのあと、冴島さんは私の耳元でささやいた。
「それなら、毎日しようか」