無慈悲な部長に甘く求愛されてます
「え」
後頭部を引き寄せられて、また唇が重なる。
さっきより深いキスに、食べたばかりのラズベリーの香りがただよって脳を刺激した。
甘い香りが体の中まで入り込むようで、背中がびりびり痺れる。
立っていられずにソファに沈む私を、冴島さんは逃がしてくれない。
覆いかぶさってきて、またキス。
「ちょっと、賢人さん」
唇が離れた隙に抗議するつもりでにらみつけると、彼はあっけらかんと言った。
「毎日こうしてればそれが当たり前になって、意識しなくなるだろ」
ソファに押し倒されて、私は小さく悲鳴を上げた。
「や、ダメですってば!明日も仕事!」
「悪い。抑えられそうにない」
そうしてまたキスの雨が降る。
ホダカ・ホールディングスの営業部門を統括する冴島賢人は、鬼上司だと思っていたけれど、もしかすると本当は、狼上司だったのかもしれない。
そんな彼のキスは、大好きなフルーヴのケーキよりも中毒性があって、とろけるように甘い。
【鬼上司のギャップは反則です♡。完】