無慈悲な部長に甘く求愛されてます

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 22階のオフィスは、今日もあわただしい。

「冴島部長、ホワイトリテイリングの資料、ここに置いておきますね」

「ああ」

 外出の準備をしながら宮田くんと簡単に打ち合わせをしている冴島さんに声をかけて、私は自分の席に戻った。

 メモに線を引きながら、やるべきことを慎重かつスピーディにこなしていく。

 どんなに消化しても仕事は次々に生まれてくる。

 疲れるけれどこの忙しさが逆にありがたい、なんて思っている時期はここのところ過ぎさっていた。

 仕事に追われていなくても、最近はうまく頭を切り替えられるようになっている。

「それじゃ、行ってくる」

 宮田くんと連れ立って歩き出す彼に、何人かが「いってらっしゃい」と声をかける。

 私も同じように見送りの言葉を口にして、颯爽とフロアを出ていく背中を見つめた。

 冴島さんに焦がれて浮き立っていた心が、最近ようやく落ち着きはじめている。

 一方通行の恋ではなくて、両想いという安定した形におさまれたことが大きいのかもしれない。

 と言ったら、きっと冴島さんは否定する。

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