無慈悲な部長に甘く求愛されてます

「サンタさんのままですね」

「……着替える余裕がなかった。まあ、いいだろ今日くらい」

 日付が変わり、12月25日。

 上空でまたたく星と、吐いた息の白さ。いつもと同じ夜なのに、いつもとはどこか違う。

 となりに男の人がいるなんて、しかもそれが冴島部長だなんて、真凛が知ったらどんな顔をするだろう。

 ひとりで想像して笑っていると、部長がため息をついた。

「良美さんはいい人なんだが、遠慮がないというか、余計なことを喋るというか……今後、俺のことをいろいろ言ってくるかもしれないが、話半分に聞いてくれ」

「え……はい」

 今後のパティスリー・フルーヴとのお付き合いを想定したような言い回しだった。

 私には踏み込まれたくない冴島部長の私生活の部分なのだと思っていたから、意外だ。
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