無慈悲な部長に甘く求愛されてます
ホダカ・ホールディングスは、主に食料品の製造・販売をするグループ企業の経営管理を行う会社だ。
後継者不足やそのほかの様々な要因で経営が立ち行かなくなった中小企業をグループ化し、全体を活性化することを目的としている。
だからグループ全体の従業員は1200人を超えるけれど、本社に勤める単体従業員は40名弱しかいない。
全国に散らばるグループ企業を管理して全体の収益に繋げるという重要な役割を、本社の精鋭たちは担っているのだ。
もちろん私は精鋭部隊の数には入っておらず、アシスタント的な役割をすることが多い。
社長が年頭挨拶を終えて、フロアには年末の続きのような忙しさが戻ってくる。
席に座るとき、私は何気ないふりをして後ろを振り返った。
大きな窓ガラスが張り巡らされたフロアの執務スペースは、大きく三つの島に分かれている。
私がいるのは真ん中の島だ。右手には窓ガラスを背に管理部門を統括する江田部長が島を見渡すように座っていて、私の正面には松田先輩がいる。