無慈悲な部長に甘く求愛されてます
目つきも鋭く、近づいたら切りつけられるんじゃないかと錯覚してしまいそうなほど、威圧的なオーラを放っている。
とても気軽に話しかけられる感じではなかった。
鬼か……なるほど。
表計算ソフトに数値を入力しながら内心でうなっていると、ふたたび意識が後ろに引き寄せられた。
「宮田、お前本当に大慶食品に行ってきたんだろうな?」
冴島部長の低い声がして、となりの島がぴりりとした空気に覆われたのがわかる。
「いや、資料で見ましたし」
私と同期であり後ろの席に座っている宮田くんが、ふてくされたような声を出して、その場にますます緊張が走った。
「そうだろうな。現地に行ってたら、こんなふざけた報告書を出すはずがない」
「いや、でも常駐スタッフに様子は聞いてるし、電話で確認もしましたから」
「そういう問題じゃないだろ。お前は合理的だと思ってるかもしれないが、相手から見たら一方的で不合理な決定に思えるんだ。そんなこともわからないのか。何年やってるんだお前」