無慈悲な部長に甘く求愛されてます
「そうなんですか、大変ですね」
うふふ、と頷くことも首を振ることもできないまま微笑んでいると、真凛がぽつりと呟いた。
「そんなに手作り弁当が食べたいなら、年末の合コンで引っ掛けたっていう彼女に作ってもらえばいいじゃないですか池崎さん」
サンドウィッチにかぶりつく真凛を、池崎さんはぎょっとした顔で見下ろす。
「有村、お前、なんでそのことを……」
「今朝、エレベーターのなかで自慢げに話してたでしょ」
「お前も乗ってたのか……」と無念そうに言い、池崎さんはふいに胸を反らした。
真凛の手元をのぞき込み、意地悪そうに言う。
「ふん、なんだ有村、おまえはまたコンビニかよ。女子なら弁当くらい作ってこいよ」
「あ、“女なら”のフレーズ出ましたね。はいセクハラ。訴えますよ」
さらにぎょっとした顔をして、池崎さんは一歩退いた。外国人のような大きな身振りで首を振り、私に視線を移す。