無慈悲な部長に甘く求愛されてます

「ああ、もう本当に、チョコレートケーキが食べたい」

 つい口にしてしまいながら見る手元の資料には、小龍包の写真が並んでいる。

 ミーティングを終えたばかりのさきほどのチームが手がける大慶食品は、チルドの小龍包を主力商品としているのだ。

「小龍包も美味しそうだけど、今は、チョコレートケーキ……」

 つぶやきながらノートパソコンのエンターキーを叩き込んだ。

 作成したファイルをグループウェアの専用掲示板にアップして、ふうとため息をつく。

 とりあえずそれぞれのチームミーティングに参加して内容をつかみながら、進行状況やスケジュールを管理してくというのが私に課せられた仕事だ。

 各チームのフォローをしつつ、冴島部長と連携する。

 私、やっていけるかな。

 与えられた仕事の重要性を考えると今更ながら気が重い。

 広げていた資料を集めて席を立った瞬間、入口に立っている人物に気づいて悲鳴をあげそうになった。

 驚きすぎて、膝が椅子にぶつかる。

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