無慈悲な部長に甘く求愛されてます
「今日はいつもより顔まわりが華やかだと思って。ピアスじゃなくてイヤリングというのが君らしいな」
金縛りにあったように動けないでいる私に、彼は小さく微笑む。
「よく似合ってるよ」
私はとっさに顔を伏せた。
「ありがとう、ございます」
今日の部長はおかしい。
いや、おかしいのは私の心臓のほうかもしれない。
いくらイケメンに免疫がないからって、部長の社交辞令にいちいち反応してたら身がもたないのに。
落ち着け、と何度も自分に言い聞かせながら、私は前を歩く部長に続いてエレベーターに乗り込んだ。
連れてこられたのは私の好きなドメスティックブランドのブティックだった。壁に飾られた見覚えのあるブランドマークを見つめながらぽかんとしていると、部長が言った。
「すまない、女性物のブランドには疎くてね。ここでよかったかな」
「え?はい……え?」
「じゃあ、好きなものを選んで。いくつでもいいから」
「……え?」
状況が飲み込めずに立ちつくす私に、彼は続ける。