無慈悲な部長に甘く求愛されてます
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最後に恋をしたのは、いつだっただろう。
甘い匂いにつかの間の幸せを感じながらフルーヴの前を通り過ぎ、通勤する人の波にのって商店街通りを抜ける。
混みあった電車に揺られながら、私は少しずつ仕事モードに頭を切り替えていく。
小さいころからぼんやりしていた私は、恋愛方面においても鈍い子だった。
中学や高校でかっこいいなと思う男子がいても遠くから眺めるだけだったし、そもそも自分からアプローチをするなんて考えられなかった。
大学生になってしばらくして告白してくれた人と付き合ったけれど、私がぼんやりしているあいだに彼はほかの女の子と仲良くなって、あっさり振られてしまった。
四年生のときに付き合った彼氏とは、卒業したあとも一応は続いたけれど、お互い仕事に慣れるのが大変で、すれ違いが増え、就職してはじめてのクリスマスを迎えるころには自然消滅をしていた。
それ以来、私は恋のときめきから遠ざかっている。
そもそも、平日に仕事をして休みの日にぼんやりしていれば、出会いなんてあるわけがない。