無慈悲な部長に甘く求愛されてます
「大慶食品の小龍包をホワイトリテイリングの自主企画商品に推してはどうかと……」
「ホワイトリテイリング?小売の最大手の?無理だろそんなの」
「はい。でも関連企業の資料をまとめていたら、城木興産とつながりがあったので……」
宮田くんははっとした顔で私を見た。それからパソコン画面に向き直り、目にも止まらぬスピードでキーを打ち込んでいく。
どうやら私の提案は一考に値すると判断されたらしい。ほっとしたのも束の間、池崎さんが声をかけてきた。
「小松ちゃんもチームに参加して驚いたでしょ?冴島部長の鬼っぷり」
ああもう、せっかく陰口を終わらせたと思ったのに。
噂話や悪口に花を咲かせるのはなにも女の人ばかりじゃない、と気づいたのは、この会社に入ってからだ。
男の人の嫉妬や愚痴も、世の中には当然のように存在する。
「自分が仕事できるからって、部下も同じようにできると思うなってんだよ。小松ちゃんもそう思わない?」
「え……いえ、そんな」