君の好きな人になりたい
「そうか、なら仕方ないな」

悠人のあっさりした返答がえぐられた胸にお構いなく刺さる。


「じゃあ、2人で悠人と回るってことかぁ。楽しみだなぁ」

桃ちゃんは机の下の足を交互に揺らして本当に嬉しそうに笑って言った。

「そだな」


桃ちゃんから視線を感じるなと思い顔を向けると、口パクで“ありがとう”と言われた。

胸がキュッと苦しくなる。

私は桃ちゃんへ小さく首を縦に振った。



私の心はついに限界になり、泣きそうな顔を必死に隠し「あ、私トイレ行ってくるねっ」といいその場を去った。

教室を出てとぼとぼ歩いてトイレへと向かう。





何してるんだろう。

結果的に協力してるじゃん。

なんで好きな人のライバルの手助けなんかしてるんだろう。

本当は私と悠人が一緒に回るはずだったのに













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