君の好きな人になりたい
1時間目の授業は国語だった。



先生の声がお経のように唱えられる。


私はまともに授業を受ける気にもなれなかったから、窓の外に視線を移すと、雨がパラパラと降り始めた。


雨って嫌い。


落ち込んでいる時に降る雨はもっと嫌いだ。

雨がもっと落ち込めって言ってるみたいで。

私はさっきの出来事を思い出し返した。



はぁ、

今までだったら、あんなイライラしたりモヤモヤなんてする事なかったのになぁ。

好きだって気づく前は。

嫉妬ってこんなに辛くて苦しくて悲しいんだ。

桃ちゃんは可愛いし、趣味も合って、女子力も高くて、行動力があって。


それに対して私は、悠人とは趣味も合わないし、言い合いばっかりだし、気も弱い部分もある。顔もブサイクではないと思うけど特別美人なわけでもない。



自慢できるのは毎日ちゃんと手入れしている肩まで伸びた色素の薄い髪ぐらい。










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