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毎日が、擦り減っていく靴底のようだった。佑也と見る未来が、だんだん見えなくなる。

その日は1人、佑也に会いに行った。いくつか電車を乗り継いで、バスに乗って佑也の居る場所を目指した。慣れない土地、何度かバスを乗り間違えた。そんな時間が、勿体なかった。

病室に入れば、一言。

「何だ、今日は1人か?」

佑也にとっては当然の疑問だっただろう。

病室には二人きり。佑也があたしを呼ぶ。

「おい泣き虫」

機会越しの君の声。

「なんだよ」

あたしは笑って返したけど、佑也は少し寂しそうだった。

「お前泣き虫じゃんか」

「だから何だよ」

佑也が言いたいことは何となく分かった。
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