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兄弟/告白

夏休みも終わって、暫くたった頃。

隆平からのいつもの電話。

『もしもし?今時間平気?』

「いつも通り平気だけど」

いつもは平気かどうかなんて問わなかった隆平だったけど、その日は少し焦っているのが分かって、可笑しくなった。

『いきなりで悪いとは思うんだけど……』

電話の向こうの声が聞こえなくなって、電波を疑った。

「もしもし?」

『あの、好きです。』

……。
状況が分からなくて、声が出せなかった。

『もしもし?聞こえてる』

隆平が問いかけてきてようやく意識が蘇った。

「聞こえてるけど……ちょっと意味が分からない」

もう率直な感想しか言えなかった。意味が、状況が把握できなかった。
好きって何だろう。感情が湧かなかった。
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