好きって言えよ、バカ。




「俺じゃ不満かよ」



人混みの中から少し離れたところで、突然そんなことを言ってくる蓮くん。



私の気持ちが伝わってしまっていたんだろうか……?



「い、いや……不満っていうか危険な匂いしかしないっていうか……」



絶対と言いきってもいいくらい、蓮くんは油断ならない。



……ところで。



なんでこの人は、不機嫌なんでしょう。



「ふーん、危険って何が?」



なんて思っていたのに、私の言葉に何故か反応したらしい蓮くんは、不敵な笑みを浮かべて私の顔をのぞき込む。



例え蓮くんだったとしても……



その顔で見つめられたら、ドキドキするよ。



蓮くんのバカ。バカ蓮くん。



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