好きって言えよ、バカ。
「絃ちゃん、りんごみたいっ。可愛いー」
「か、可愛くないからっ!」
いつまでもからかってくる葵くんに、迫力のない抗議をする。
でも、葵くんはやっぱり可愛いと、ニコニコしていた。
「本当、絃ちゃんって無自覚だよね」
「俺も同感」
「雅さんと蓮くんまで……!」
この家に、私の味方は誰もいない。
そんなのわかりきっているけれど。
……そうだ。
「葵くんの試合の日、瞳も呼んでいい?」
瞳はスポーツ観戦とか、結構好きなはずだし……
夏祭り前に遊びに行ったきり会っていないから、会いたいし。
3兄弟は危険だから、念の為の保険に……なんて言ったら瞳、怒るかもしれないけど。
「うん、いいよ」
「ありがとう」
葵くんに許可をもらい、早速瞳に連絡をしてみた。