好きって言えよ、バカ。



「じゃあ佐伯……ってふたりいるからな。遼、お前はあそこ、小鳥遊の隣に座れ」



……ん?



私の隣と言いました?



確かに私の隣の席は空席で空いている。



でももうひと席空いているのに、何故ここなのか。



「はーい」



そう疑問に思っているうちに、遼くんが私の隣に来た。



「こんにちは。名前なんて言うの?」



遼くんは席に着くなり、先生の話が終わっていないにもかかわらず小声で話しかけてくる。



「えっと、小鳥遊 絃です」



「絃ちゃんね、よろしく!」



「あ、うん、よろしくね?」



あまりにもグイグイと来るから、対応に困ってしまう。



あまりにもぎこちない自分の言葉に、苦笑いした。



ホームルームが終わった後は、すぐに遼くんの周りには人だかり。



他のクラスでも私たちのクラスであるC組に転校生が来たと話があったのか、一目見ようと人が集まってきていた。



すごい大人気。



改めてイケメンの凄さと恐ろしさを感じた。



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