好きって言えよ、バカ。





「せんせー!」



授業が始まるなり、大声をあげて手を上げる隣の遼くん。



突然声を上げるものだから、みんな遼くんの方を見る。



見られているのは遼くんのはずなのに、隣の席の私は近いがために視線を感じて、なんだか居心地が悪くなる。



「なんだ?」



「教科書まだないんで、絃ちゃんに見せてもらってもいいですかー?」



……ん!?



な、名指しですか!?



確かに引越してきてばかりで、初日の今日は教科書が手元にないのはわかる。



見せてもらいたいって言うのもわかる。



遼くんの隣は私だけじゃなくて、反対側にもいるのに、何故私?



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