好きって言えよ、バカ。




「それがどうしたんだよ」



「俺さ、絃ちゃんに惚れちゃったんだよね?だから俺のものにしたいなーって」



そうやってまたすごいことをサラサラと……



「何リンゴみたいに赤くなってんだよ、お前」



「……いや、」



み、見られた……



「お前、こいつのこと好きなのかよ」



そう乱暴に言い放つ蓮くん。



「そ、そんなこと……」



今日初めて会ったばかりの遼くんだよ?



好きとか嫌いとか、そんなことわからない。



……苦手ではあるけど。



「別にいい。遼、お前に絃は渡さない」



「へっ?」



奪い取るように、私を遼くんから引き離した蓮くんは、そのまま私を抱き寄せる。



それに……



今、蓮くん。



"お前に絃は渡さない"って。



これは空耳?夢?



蓮くんからそんな言葉が出てくるなんて……



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