好きって言えよ、バカ。
私に向けられている視線も、嫉妬の目ばかり。
今に始まったことじゃなくて、夏休みに入る前にも雅さんと一緒にいるところを見られて、陰口を言われていたこともあった。
それも少し落ち着いていたのに、また……どうして?
そんな時、いきなり痛い視線がなくなって、その代わりに周りが騒がしくなる。
「きゃーっ」
「みんな、おっはよー!元気?今日も可愛いねー」
この声は……
チャラいあの人、遼くん。
「かっこいいーっ!」
「ねぇ、今日の放課後カラオケ行かない?」
チラリと校門の方を振り返ると、女の子の人だかり。
遼くんはどこかの芸能人ばりの人気度。
「うーん、どうしよっかなぁ」
女の子という女の子にニコニコと笑顔を振りまいて、軽々しく話しかけに行く遼くんは、本当にチャラい。
遊び人って言葉がぴったりだ。