好きって言えよ、バカ。



巻き込まれたくない私は、さっさとこの場を立ち去ろうと足を生徒玄関の方へと向けた時だった。



「あー、絃ちゃんみーっけ!」



「……うっ」



無視、こういう時には無視が一番。



少し足を速めて、スタスタと歩く。



……が、しかし。



「なんで逃げるの?」



「……えーっと」



そんな逃走計画も虚しく、あっけなく捕まってしまいました。



「あの、離していたいただけないでしょうか」



非常に周りの目が痛いのです。



それもそう。



私は今、後ろから遼くんに抱きしめられているのだから。



「嫌だって言ったら?」



そう言ってギュッとさらに強く抱きしめてくる。



「怒ります!!」



ムッとすると、さらにニコニコして可愛いね、なんて言ってからかってくる。



やっぱり遼くん、苦手!



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