好きって言えよ、バカ。




「あーっ!遼兄!!」



どこから気づいたのか、駆け寄ってきた葵くん。



走ってくるなり、私と遼くんを引き離して、遼くんの代わりに葵くんが私のことを抱きしめる。



……これじゃ、意味ないんだけどね。



これはこれで、周りから悲鳴があがる。



「葵、学校では遼先輩だろ?」



「そうだけど……そんなことより、絃ちゃんのこといじめないで」



そう守ってくれる葵くんの気持ちは嬉しいんだけど、離してはくれないだろうか。



「本当に絃ちゃんのことがだいすきなんだね、葵は」



「もちろん、だいすきに決まってるでしょ?」



……えっ


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