好きって言えよ、バカ。




「そんなぁ。だって絃ちゃん」



いつの間にか標的が私の方へと変わって、じっと見つめられる。



「な、何……?」



未だにイケメンにまっすぐと見られるのには慣れなくて、恥ずかしい。



「蓮兄の行動に少なからず惚れちゃったしょ?好きになっちゃったしょ?」



「……へっ?」



まぁ、確かに……



見つけてくれた時はホッとした。



駆け寄ってきてくれたのは遼くんだったけど。



でも、瞳に聞いたあのこと。



"これ以上絃を傷つけてみろ!俺が絶対許さねぇ"



そう叫んでくれたこと。



あれは、確かにかっこよくて、キュンとしちゃった。



「ほらぁ!絃ちゃん顔真っ赤になってるー!!もう蓮兄のばかぁ!!」



「へぇ、お前俺に惚れたんだ?」



「なぁーっ、そんなことないからっ!!」



ほら、そうやってすぐ調子に乗って……!



そんな……蓮くんのことなんて好きじゃ、ないから。



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