好きって言えよ、バカ。



その日の帰り道。



なんだかずっと不機嫌そうな蓮くん。



付き合うことになって、せっかくだし、帰り道も同じだし一緒に帰ろうとなったところまでは良かったんだけど……



隣でムスッとされてると、居心地が悪い。



「ね、ねぇ……なんでそんなに怒ってるの?」



「……わかんねぇのかよ、バーカ」



もう、バカバカバカバカうるさいよ。



「言ってくれないとわからないに決まってるでしょ?バカ蓮くん」



そう言うと、ちっと舌打ちをしてそっぽを向いてしまう蓮くん。



もう、意味がわからない。



「……んでだよ」



「……え?」



いきなり、ダンと壁につかれた蓮くんの足のせいで行き先を阻まれる。



これがいわゆる、足ドンってやつですか!?



……思っていたより、距離が近い。



くるりと体を向かい合わせにされて、背の高い蓮くんに見下ろされる。



私、壁に追いやられるの多すぎない!?


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