好きって言えよ、バカ。




「いいんだよ。絃ちゃんは特別だから。ほら、デートだしこれくらいしないと俺に惚れないでしょ」



「……っ」



サラリとそんな甘いセリフを口にしてしまう雅さんは、やっぱり大人で……



少し暗い館内と、繋がれた右手でドキドキが止まらない。



雅さんのバカっ……



水族館って魚を見て癒されるのに、これじゃあ癒されるどころか、落ち着かないじゃない。



「絃ちゃん、イルカ好き?」



「イルカ?大好きですっ」



「……じゃあ、もうすぐイルカショー始まるから先に行くよ」



「あ、はいっ」



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