好きって言えよ、バカ。
私が雅さんの腕の中で驚いているなんて、雅さんは知らない。
「お前らが絃ちゃんに手を出すなんて、100万年早ぇーんだよ」
「ちっ」
「行こうぜ」
面倒くさいと思ったのか、2人組はその場を去っていった。
その場に私と雅さんの2人きりになってから……
「絃ちゃん、大丈夫?」
「怖かった……っ」
雅さんがさっき座っていたベンチまで連れてきてくれて、座った瞬間涙が溢れ出てきた。
本当は泣きたいくらい怖かったんだ。
雅さんが震える私をそっと抱きしめてくれる。
私が落ち着くまで、雅さんはずっとそうしてくれていた。