好きって言えよ、バカ。




「……落ち着いた?」



「はい、ありがとうございます……あ、飲み物」



「あぁ、いいんだよ。また買ってきたらいいでしょ」



さっきチャラ男たちに絡まれていた当たりに残る湿った跡と氷。



飲み物を買って帰ってきた雅さんが、ベンチにいない私を心配して探しに来てくれて……



ナンパにあっていた私を見つけて、咄嗟に助けに来てくれたんだって。



その時に飲み物を放り出してしまったんだとか。



そこまでして助けてくれた雅さんに、頭が上がらない。



「雅さん……どうして、そこまで」



「絃ちゃんが好きだから」



「……っ」



真っ直ぐ視線を向けられて、告白をされるなんて……



生まれて初めての経験。



こういう時はどこを見たらいいの?



話は相手の目を見て聞かなきゃいけないなんて、小さい頃から教わってきたけど……



目なんて見れるわけがないよ。




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