私の心の中にいつも君はいるよ
新学期
プロローグ
私、佐野美侑(サノミウ)15歳。
今日は晴れ舞台です。
死にもの狂いで勉強して
念願だった志望校につい最近合格した。
そして、今日は今日は…待ちに待った入学式です。
「美侑~?何してるの、遅れるわよ~!」
「今いく~!」
1階からお母さんの元気な声が聞こえてくる。
急かすお母さんをそっちのけで私は真新しい制服を身に付けた自分を部屋にある姿鏡でじっと見る。
茶色のブレザーに同色がベースで赤と緑のチェック柄のスカート、胸元には赤のネクタイ。
スカートの丈を少しだけ短くして、
紺色の踝丈の靴下を履いた。
「可愛い。」
中学はセーラーだったから着てみたかったんだブレザー。
肩下まである髪はアイロンで軽く巻いて、
薄くメイクもしてみた。
準備オッケーと心で言って指定のスクールバックを片手に階段を下りてリビングに向かう。
「ジャーーンッ!」
リビングの扉を開いて新聞紙片手でコーヒーを飲むお父さんと朝食の後片付けをしているお母さんに見せびらかした。
「似合っているじゃないか。」
「そうね、何だか新鮮ね。」
「どう?可愛い?」
コーヒーを飲むお父さんに近寄ると、お父さんは持っていたカップと新聞をテーブルに置いて私と向かい合わせになった。
「あぁ、可愛い。」
「えへへ。あっ!もうこんな時間?」
「だから言ってるでしょ?お父さんとお母さんは式が始まる頃合いに着く予定だからね。」
「うん!じゃぁ行ってきます!」
二人とも平日なのにわざわざ今日のために時間を作ってくれて私の晴れの舞台を見に来てくれるの。
玄関に綺麗に並べられている茶色のローファーに足を通して、コツコツと音を鳴らし扉を開けた。
太陽がおはようと言っているような眩しさに思わず眉をひそめるけれど春らしいポカポカとした暖かい気温に心地よさを覚える。
「よしっ!」
駅に向かって私は力強く歩き出した。