裏切りげぇむ

アイツとの、口約束から何日か経った日の昼。
あたしはこっそりと彼の後をつけていた。


彼が向かった先は屋上。
ドアを音が鳴らないように開けると、彼の目の前にいたのは、あの女だった。





話し声が途切れ途切れに聞こえてくるけど、
なんとなくわかった気がする。


彼とあの女。デートするんだ…！

「何よ、アイツ…！」


ムカつく！なんで、あたしじゃなくて彼女なの？
たしかに、彼の脳内にあたしのことが、インプットされてないなんてわかってる。


でも、わざわざ屋上でいう！？
ムカつく。


今すぐにでも殺してやる…！

あたしは電話で、親衛隊の友達、若葉とともかに連絡した。

後…は。

少し前に私に言い寄って来た男。
村雨湊にも頼んだ。




「よし、バッチリ。」



屋上の扉から出て行った彼を確認した後。
あたしはあの女前まで行った。


「ねぇ？なんで一緒にいたの？うまくやってくれるんじゃなかったの？」


コイツ、浮かれてやがる…！
死ねよ！死ねばいい！


「あ…えっと…」





あー、ほら来た。
え？自分悪いことしたしましたか？彼が勝手に言ってきたんです
アピール。
クッソウゼェな。この女。




「はぁ…うざ。
なんなの。あのさ。私さっき明後日会えるか彼に聞いたの。
そうしたら、ダメって言われた。
なんでアンタの約束事に私が引き下がらなきゃいけない訳？
ありえないんですけど。」

モチロン、これは嘘。
ずっと言ってるけど、彼と話したことなんて一度もないんだからね。
まぁ、こんな嘘に騙されるコイツもどうかと思うけどさ。


とりあえず、こんなやつ殺したいなぁ。
あ…！
あそこのフェンスって確か…。

「危ない…！」

「いい？ここのフェンス。老朽化なのよ？
だから、すぐ壊れちゃうかもね？
そうしたら、死んじゃうかもね？」



わぁー！必死に抵抗してるー！いい気味。
さっさと死んじゃえばいいのになぁ！
死んだら、アンタの分まであたしが彼を幸せにするからさ。
その約束なら、いいでしょ？
あたしは彼に似合いの女性。
アンタは違う。
幼なじみという仮の関係に乗っかったただのバカ！
本気で好きなやつの前で幼なじみアピールとか、ほんとムカつくの何者でもない。
死んじまえ…！こんなの、罪になっても彼のためだと思えば全然どうってことない！

「やめてっ！」




ドンッ！！
あたしは突き飛ばされていた。
怒りはとどまることを知らず、堪忍袋の緒がブチブチに切れた。



「はぁ？うざ。ちょっとみんな。コイツ落とせよー！」



あたしは大きく声を張り上げた。
屋上の扉の裏から出てくる、若葉とともか、湊。



「おっけー！」

何かあった時のために、呼び出した。
用意周到！あたし、天才かも！


「じゃあ、落としちゃっていいよ。」


否、大きくうるさい声が聞こえる。



「いやあああああああああああああああ！！！！！」




アイツの体がフェンスから飛び越えた。
あと少しで、アイツは落ちて死ぬ…！





「秋斗は私と付き合うんだからね？」



私は不敵な笑みを浮かべながら、最後にそう言った。



グシャ！
という、音が聞こえたが、これも全てあたしのため。
しーらないっ！



そして、あたしは…


「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア！！！！！」

と、叫んだ。