契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
外に出ると、冷たい空気に包まれる。

NSTの飲み会の時は暑いくらいだったのに、もうすっかり季節は移り変わってしまった。

「じゃあね、また明日―」

「お疲れ様でしたー」

みんなと駅で別れ、私は近くの壁にもたれてふうっとため息をついた。


…プロポーズされたの、この辺だったな。

どんな気持ちで言ったんだろう。

利害関係が一致してラッキーってところかな。

悠さんは私が想像していたよりもずっと大事にしてくれている。

幸せでいるように気を使ってくれている。

だけどそれは、悠さんの負担にならないのかな。

案外、悠さんにとってはデメリットも大きかったんじゃないだろうか。

ねえ悠さん。どうするのが正解なの? 

これから先、悠さんは私が幸せであるために努力し続けて、私は素直にそれを幸せだと喜んで、何十年もそうやって生きていくのが契約結婚のあり方なの? 

もうわからないよ…


なんだかこのまま帰りたくなくてフラフラと来た道を戻ろうとしたら、不意に腕を掴まれた。

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