契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
私、話も聞かないで、勝手に勘違いして悠さんを傷つけたんだ…

「…ありがとうございます、菊川先生。
帰ったら風間先生とちゃんと話します」

菊川先生はホッとしたように微笑んだ。


菊川先生に会釈をして別れ、廊下を歩き進んだ。

悠さんに謝らなきゃ。

体調は悪いけど、悠さんが帰ってくるまで寝ないで待ってて、それから…

階段を駆けあがろうとして、違和感を覚えて立ち止まった。

…なんだろう。胸が痛い。

階段を上がるだけなのに、なんでこんなに息が切れるんだろう。

「相沢さん、忘れ物ですよ。珍しいですね。ぼーっとしてました?」

いつの間にか小沼さんが隣にいて、患者さんのデータのクリアファイルを差し出した。

「ああ、ありがとうございます。わすれ、て…た…」

「相沢さん?」

苦しくて思わずマスクを外したけど、息がうまくできない。

胸に痛みが走ってその場に座りこんだら、小沼さんが私の肩をゆすった。

「えっどうしたんですか相沢さん!コードホワイトの時と同じ症状?」

違う。こんなに胸が痛いなんて絶対おかしい。



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